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療法士

【起業と開業】保険の壁を理解する

副業の流れがきているのに、理学療法士には開業が認められていないのはおかしいと感じている人っていますよね。

しかし、制度の背景を考えると理学療法士が開業できないのは当然のことなのです。

理学療法士として、身を起こしたいのであれば起業しましょう。

起業は誰にでもできる挑戦です。

今回は、開業と起業についての知識を、理学療法士の制度上の観点から解説していきます。

起業と開業

リハビリテーションに携わるものの中にも、起業と開業をごちゃまぜにしている人が多いような印象を受けます。

まずは、言葉の意味から整理していきましょう。

起業

起業(きぎょう)とは、新しく事業を起こすことで、創業(そうぎょう)ともいう。

引用:Wikipedia

開業

開業(かいぎょう)とは、新しく事業や商売を始めること、また事業や商売をしていることをいいます。‥‥‥通常、医師や弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士、コンサルタントなど、何らかの資格や技能などを持った人が、自分のクリニック(医院)や事務所などを開く場合に使われることが多いです。

引用:起業・独立ガイド

言葉の意味の上では、ほとんど同じような意味合いです。

国家資格に認められた特定の分野で起業する場合、「開業」という言葉を用いるのが適切かと思います。

訪問看護は開業ではなく、「起業」

国家資格保有者がその資格を生かして、起業するのが開業だとすると、訪問看護は起業だよね?と思われる方もいるかも知れません。

しかし、訪問看護は起業です。

なぜなら、事業母体が一般企業でも可能になったからです。

つまり、資格を有さない普通の人が、株式会社を設立し、開設要件を満たすことができれば、介護保険事業を開始できるようになったのです。

なので、訪問介護事業の社長は医療従事者でないケースが多いです。

訪問看護に限らず、介護保険事業では多くの業種で起業が可能です。

デイサービスや、訪問介護。ショートステイや福祉用具貸与も可能になっています。

これらの業種は、理学療法士だろうと看護師だろうと関係なく、法人であれば開設が可能です。

会社の社長が、看護師さんやリハビリなどの人員と事務所などの施設基準を満たすことができれば可能になります。

医療での開業は医者の特権

医療行為での開業は基本的には医者の特権です。

そもそも医療行為は医療法人でなくては提供できないことがほとんどです。

そして、医療法人の場合、基本的には医者か歯科医でなくては理事長に就任することはできません。

厚労省の認可が下りれば理事長になることも可能です。

しかし、医療法人の理事長が医者である理由は、医学的な知識不足による音大を防ぐためとあるので、医者に匹敵する医療的な知識が必要と思われます。

なので、基本的には医者のみに許された行為と言えるでしょう。

では、柔道整復師や鍼灸師と言った有資格者はどのような位置づけになるのでしょうか?

かれらも医師と同じように、保険請求が可能です。

そして、開業権を有する資格でもあります。

注意してほしいのは、それらは医療行為ではないという点です。

かれらが提供しているのは、医療類似行為としてサービスを提供しており、その結果、診療報酬を請求しているのです。

起業は誰でも飛び込める

一般的な言葉の使い方だと開業と起業はごちゃごちゃになってしまいがちです。

ラーメン屋は起業するとは言いませんよね。

どちらかというと開業という言葉を使われます。

しかし、こと医療・介護の分野では起業と開業の間には明確な意味合いの差があります。

そのことを理解した上で、言葉を用いることが重要です。

他の柔道整復師や鍼灸師と比べ、開業権の無い理学療法士というものに対して、否定的なものの見方をする人が多いです。

しかし、開業券というものは、保険診療が付随します。

つまり、自分で自由にお客さんを選ぶことも、自由な値段の設定もできません。

将来的に少子高齢化で社会保障費の増大が問題になる。

なので、保険診療をもとに仕事を行う理学療法士は、将来的にまずい。

開業権が必要だ!という主張は、そもそも、開業自体も保険診療を行うという点から的はずれな議論です。

資格を生かして保険請求を目指すのではなく、サービスを提供した上でその対価をいただくというような形が重要だと思います。

そうなると、ライバルは整体だけでなく、ヘッドスパやエステなども含まれるようになるでしょう。

起業は誰でも挑戦することが可能です。

理学療法士という保険の壁に守られた世界から、壁のない食うか食われるかの世界に飛び出していくことになります。

理学療法の制度とマナー

近年では、起業する理学療法士が多いです。

その中で、「自費リハビリ」というものが問題視されてきています。

「自費リハビリ」と読んでいるものを「自称リハビリ」と経産省の資料では呼んでいます。

引用:令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(公的保険外・医療周辺サービス実態調査)調査報告書(経済産業省HP)

このような問題はなぜ生じるのでしょうか?

この資料では、公的保険下で行われるリハビリテーションと、保険外サービスとして提供されるサービスが非常に似通っているとの問題点が指摘されていました。

つまり、あえて似通った呼び方にさせることで、サービス利用者側が見分けにくいような仕組みななっているのです。

見方を変えると、詐欺の方法にも通じるようなやり方にみえるはずです。

提供している側が、そのような意図がなかったとしましょう。

病院現場で経験を積み重ねた理学療法士が、病院と同じようなサービスを提供していたとします。

提供しているものが全く同じだとしても、保険下で行われているものと、そうでないものは、制度設計上は明らかに異なるものなのです。

そのあたりの解釈を読み違えてしまうことにより、現在守られている理学療法士の聖域が失われてしまうことを危惧しているのが協会側です。

違法行為ではないとしても、制度の隙間をつくような方法は、マナー違反です。

自分のことだけ考えるとどうなるのか

制度の隙間をつくやり方は、同業者を出し抜くことができるでしょう。

しかし、時間が立つと、模倣する業者が増えるのも確かです。

「リハビリテーション」という単語が保険外で使われても大目に見てはいいのではないかという論調になると、「リハビリテーション」という言葉を使う業者が増えました。

しかし、度が過ぎると、摘発されるような自体になりかねません。

自分のことだけを考え、制度を上手に利用する人は、真面目制度を守っている人から見るとやりきれない思いになるかもしれません。

その人達は、リスクを取っているのです。

その結果として、今は恩恵を受けているのでしょうが、いきなり資格剥奪や営業停止などの見せしめを受けるリスクもはらんでいるのです。

自分のことだけを考えると、ゆくゆくは隙間がどんどん減っていき、下手をすると、正規の手順で獲得した理学療法士の仕事の範囲も失われるかもしれません。

そのような時に、リスクを取った人は吊るし上げられることになるでしょう。

しかし、最終的には自分で決めることだと思います。

選択肢は自由。責任を持て。

開業と起業について簡単に解説してきました。

制度的には、開業はできませんが起業はできます。

企業の選択肢として、リラクゼーションや整体と称して理学療法を提供する理学療法士が増えてきています。

選択肢は自由です。

しかし、どのような選択にも責任が伴います。

それらの責任を他人や制度に求めずに、全てを自己責任で行うことが最も重要です。

自分の人生はやり直しが効きません。

後悔のないような選択肢を選びましょう。